ご挨拶

設備共用とリユースの先に見えてきたもの

岡山大学は,平成28-30年度の三年間,設備サポートセンター整備事業に採択されており, 研究設備・機器の共同利用促進,現有機器の修理やリユースが取り組まれております。 前部門長の西原康師教授が本事業の採択にご尽力された経緯もあって, 当部門も事業の推進に直接的または間接的に関わってきました。

高等教育機関に計上される公的資金が厳しくなる中で, 研究機器の共用やリユースによる効率化が求められるのはあるいは当然の流れであり, 本学が事業校として採択された意義は深いと言えます。 本事業の活動を契機に共同研究の人脈が,企業も含めて学内外に拡がり, リユース機器の活用により,一報でも多くの論文を出し実績を挙げることで,新たな競争的資金の獲得に展開するなど, 皆様の研究活動に一縷の活路が切り拓かれることを祈念しております。

私たちの部門では,このような事業に関連したシンポジウムや情報交換会・報告会に参加する中で, 本学の研究力アップに資する将来展望が見えてきました。本紙面では,その紹介をさせて頂きます。 まず,大学の知的生産性とは,やはり論文であると言えます。 認知度の高いジャーナルに論文を通すには,やはり高品質なデータが必要です。 厳しいピアレビューを突破するには,斬新な発想やユニークな問題意識だけでなく, 頭一つ抜けた突破力のあるデータがどうしても必要です。
本学の自然生命科学研究支援センターは,文字通り研究支援を行うため機器と人員を集約したセンターです。 センターを構成するのは当部門と共に,光・放射線情報解析,動物資源,ゲノムプロテオーム解析であり, これらの部門では研究支援を担うエキスパートが日々スキルアップと機器や設備の性能強化にも取り組んでいます。 高品質なデータを得るために高度なスキルに特化したエキスパートが分業して支援する。 これが岡山大学の研究力アップの戦略なのです。
私たちが機器と設備の共用化を推進すればするほど, それを稼働する人材の育成がとても重要だという点が明らかになってきました。 かつて,日本の製造業の弱さは高い人件費ではないか, という議論がなされて非正規雇用,時限雇用など構造改革が進められて, 人件費ならばいくらでも削減できるかのような風潮が広まってしまいました。 しかし設備の共用,リユースの促進を進めた先に見えてきたものは, まさに人材育成と確保こそが大学の研究力を支える資源だったのです。

本学の研究力の継続的な向上のため,今後とも関係各位のご理解・ご支援・ご協力をお願い申し上げます。

岡山大学自然生命科学研究支援センター
分析計測・極低温部門長
田 村  隆